私の体は音楽と映画と旅でできている

タイトルのまんまのブログ。中年主婦が映画、音楽、旅行について思いつくままに書いてます。

【海外ドラマ】メディチ

Huluにて『メディチ』が、配信開始されたので鑑賞しました。

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15世紀のフィレンツェを背景にメディチ家の盛衰を壮大なスケールで描いた歴史ドラマで、2016年からイタリア公共放送局RAIで放送が開始されるや、イタリアで平均視聴率26.9%を記録したほど。
そのドラマが日本についに上陸。
日本ではあまり馴染みのない題材ですが、ルネサンス好きにはこたえられません。

イギリスやイタリア、アメリカなどから国際色豊かなキャストを配していますが、ダスティン・ホフマンがコジモの父、ジョバンニを演じています。
一話目はそのジョバンニが暗殺されるところから始まり、息子のコジモがメディチ家の当主として後を継ぐことになります。
時折、彼の若い頃の回想シーンが挿入されますが、若い頃の彼は画家志望だったのですが、長男の義務として渋々家業を継ぐ事になったという設定になっています。
それが芸術家のパトロンとしてのメディチ家の伏線となっているわけですが、実際にそれが花開くのは孫のロレンツォの時代ですが、2シーズンではメディチ家の最盛期を築いたロレンツォの時代が描かれるという事で楽しみです。
ダ・ヴィンチと禁断の謎』でもロレンツォが登場しますが、あちらが冒険活劇としての要素が強かったのに対し、こちらは伝記もの、歴史ものといった印象が強く、コジモが理想と現実の間で迫られる決断、政敵との政治闘争、陰謀や駆け引きなどが描かれ、コジモがひとかどのリーダーとして成長していく姿が見応えたっぷりに描かれています。
対し、息子のピエロは少し頼りない感じですが、その息子がロレンツォであり、孫が祖父の資質を受け継いでいるようです。
2部で、ピエロをジュリアン・サンズが演じているという事で、昔からのファンとしては嬉しいですね。
歴史を知らなくても、十分楽しめる出来となっていますが、メディチについて簡単に解説させていただきます。

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のちに老コジモと呼ばれるようになるコジモ・ディ・メディチ

ドラマのイケメンとは随分印象が違いますね。

 

フィレンツェは12世紀に自治都市としての地位を確立してから毛織物業で莫大な利益を得、それを国王や教会に貸し付ける事で金融業を発展させました。
その中でも突出していたのが銀行家のメディチ家であり、1429年にコシモ・ディ・メディチが覇権を確立しました。
メディチ家が他の銀行業者より抜きん出ていた理由は、いち早く貿易中心の事業を金融中心へとシフトしていったからで、彼は有力な政治家や聖職者に金を貸す事で権益を確保し、国政に影響力をつけていきました。
彼は民衆の圧倒的な支持を得るが、民主主義を擁するフィレンツェ市民に配慮して、表向きは政治のトップに君臨するのを避け、代わりに芸術を保護し発展させる事で人心の掌握に努めました。
彼は学芸の発展のためにプラトン・アカデミーを創設。多くの芸術家のパトロンとなりました。


これはいわば紀元四世紀末、アテネプラトンが創設した学術学校の再現であり、多くの芸術家が古典芸術に感化され、その才能を伸ばしていきました。
コシモの孫ロレンツォの代にメディチ家は最盛期を迎えることになり、パッツィ家のクーデターやナポリの侵攻などで一時苦境に立たされたものの、機転を利かせて反対勢力との和平を実現、その後ロレンツォは多くの芸術家を輩出しフィレンツェは黄金時代を迎える事となります。

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ロレンツォ・ディ・メディチ

フィレンツェで目にする建築物や芸術品の多くはメディチ家が関わったものであり、ドラマの中で若きコジモが人々に仕事を与える為に建設途中だった花のサンタ・マリア教会のクーポラの工事を進めるシーンがありますが、このクーポラの建築は困難を極め、その難題を解決したのが天才建築家ブルネッスキで、古代ローマイスラム建築の工法を取り入れることによって、教会はようやく完成、このクーポラの工事だけで16年かかったそうです。