私の体は音楽と映画と旅でできている

タイトルのまんまのブログ。中年主婦が映画、音楽、旅行について思いつくままに書いてます。

【映画評】コンタクト

コンタクト


【ネタバレ注意】

Amazon Primeで配信されていたので『ファーストマン』に触発されて、再見しました。
おそらく3度目の鑑賞ですが、評価がさらに上がりました。

女性視点による宇宙への憧れが共感たっぷりに描かれ、涙が止まらなかったです。

地球外知的生命体と人類の接触を描いたカール・セーガンのベストセラーをロバート・ゼメキスが映画化。

 幼い頃から宇宙に興味を抱き続け、今では電波天文学者となったエリー(J・フォスター)は宇宙からの電波を基に地球外知的生命体の存在を研究している。
だが上司のドラムリン(T・スケリット)が予算を削減し、エリーは大富豪ハデン(J・ハート)に協力を求める。
そんなある夜、未知の電波をキャッチしたエリーたち研究グループは、それがヴェガ星からのものだと突き止める。その電波には地球上の映像と謎の設計図が納められており、事ここに至って研究は合衆国政府の手にゆだねられる事となった。
ハデンの助力もあって謎の設計図はどうやらヴェガ星への輸送機関である事が判明。急ピッチでその基地が建造されパイロットが選考される事になった。

 もしも地球外知的生命体とのコンタクトが可能になった時、人は、政治は、メディアはどう反応するのか。ちうシュミレーションをおとぎ話やホラ話ではなくリアリティーに凝った作りで描く。

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 まず、結論から言うとあの「接触」シーンをああいう風にしたのはうまいなと思いました。 
どうするのだろう、と危惧していたのですが、ああいうファンタジーとも哲学ともつかぬ曖昧な形にしたのはかえって正解だったと思うのです。

管制塔からはただまっすぐポットが海に落下する風にしか見えず、ジェームズ ・ウッズの言う通り、全てはあの怪しげな富豪家ハデンの金に物を言わせた あくどいお遊びで、エリーの見たものも単なる幻覚だったのでは?という疑念も(タイミング良く死んでるし・・・)、ノイズの録画時間が18時間、という事実を聞いて一気に氷解。
でも、何か証拠になる様なものを残しておいて欲しかったですね。あれでは、エリーが余りにも気の毒です。

宇宙人の電波をキャッチするまでがちょっと間延びしている様な気がしたけど それ以降は、暗号を解読するまでの緊迫感のある展開によって俄然面白くなる。 ただ、転送装置ができてからの展開がやたら早い気がしました。
わけのわからん設計図を元に作り上げる苦労とかエリーの宇宙飛行士としての訓練のシーンとか色々あってもよさそうに思うのですが、時間の都合ではしょられたのでしょうか。

ジョディー・フォスターはこれ以上ない、という位ハマり役だと思います。 自分の信念に固執する余り、周りから孤立してしまうヒロインは、一歩間違えれば「未知との遭遇」のロイ・ニアリーみたいに狂気の域に入っていきそうな所、かろうじて踏みとどまったのは彼女が夢を追い求めるだけの夢想家に留まらない科学者特有の客観性、冷静さがあったからだと思います。 

そして、脇を締める配役がまたすごい。
政府の宗教顧問のパーマーを、当時まだ売り出し中のマシュー・マコノヒーが演じ、エリーと信仰と科学、考え方の違いを乗り越え、彼女を支え、応援します。
原理主義の指導者みたいなのをロブ・ロウって冗談としか思えないですが、怪しげな富豪ジョン・ハートもぴったりです。
嫌な上司、ドラムリン役のトム・スケリットもいい味出してたと思います。 
私は、テロによって死んだ所で自業自得じゃ、とは思いませんでしたね。考え方は違えど、同じように夢を追う者同士、エリーが電波を受信してからは、その事に全力投球していました。 
売名行為だけでどこに連れて行かれるかわからないポッドに乗ろうだなどとは思わないでしょう。彼の勇気には敬意を表します。

それにしても、「神を信じるか」否かが宇宙飛行士の選別の条件になるというのには驚きですが、アメリカが宗教大国だという事を再認識させられました。
だからこそ、発射基地として日本が選ばれたのは宗教的に曖昧で原理主義者が入りにくいというのもあったのでしょうが、エリーの泊まっている部屋に鏡もちがあったり、どこか変。
「ゼメキスよ、お前もか」と思いましたが、日本が世紀のイベントの重大な協力者として描かれているのは何となく誇らしい気分になりました。

アラン・シルベストリのスコアも大変ムードありましたね。 
優しい女性的な旋律でSFらしくないですが、この映画のテーマにぴったりでした。

エリア51で米軍と宇宙人が共同で何かを研究しているという噂は結構何でも信じる私でもさすがにマユツバものだと思っていましたが、この広大な宇宙のどこかに他の生命体がいない、と考えるのはかえって不自然だと思います。 
いたとしてこんな遠い所に来れるわけない、と言い切るのも想像力の欠如だと思います。

 エリーが「ライト兄弟も妄想なの?」と詰め寄っていた様に、数百年前は家に いながらにして遠くの人と話せる、といった事は夢物語で、「いつか、そういう 事ができるようになる」と言った所で誰が相手にしたでしょう。そんな事がで きるわけないと一笑に付されるのが関の山だったはずです。 でもそれは今は当たり前になっています。我々が地球外生命体がいる、いないで議論を交わしている間、どこか遠くの星では、「スター・トレック」みたいな世界が展開しているかもしれません。
私たちの想像もつかない科学力を保有して 星間を自由自在に移動し、たまに地球に立ち寄った所で原始的な星だな位しか 思ってないかも・・。

核などの武器による滅亡や環境破壊を乗り越え、科学的にも精神的にも成熟した神にも近い宇宙人がこんな地球の様な原始的な星を侵略する為にわざわざやって来る とはとても思えない(思いたくない)んですよね。
人類はそんな高度な文明と精神を持った異星人とコンタクトするにはまだ未熟で数100年早い、とし、これからの人類の向かうべき方向性みたいなものを示唆していると思うのですが、ちょっと私の考えは楽天的過ぎますかね。 
もちろん、地球外生命体を信じる、信じないは、人それぞれですが、いると考えた方が楽しいじゃありませんか。

エリーいわく「地球人だけじゃこの広い宇宙がもったいないわ」
名言だと思います。

そういえば、私は子供の頃、エリーと一緒で星を眺めるのが好きで宇宙図鑑なんてのも持ってました。
でも、数学と物理がダメなバカなので天文学者 になるという発想すら浮かんで来なかったんですよね(^^;)