私の体は音楽と映画と旅でできている

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【映画評】バハールの涙

『バハールの涙』観てきました。

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最近はあまり名前を聞かなくなったISIS、いわゆるイスラム国ですが、当時、そのイスラム国と闘うクルド人の女性の武装組織についてニュースで見たことがあり、女性なのにすごいな、と思ったことがあります。
この映画は、イスラム国によって街を奪われ、夫を殺され、子供を売られ、自分もイスラム国の性奴隷として生きる事を余儀なくされた女性たちが、夫の敵を射つため、子供を取り戻すために武器をとってイスラム国と闘う姿をフランス人の女性ジャーナリストの目を通して描いたもの。

こういう映画だと女性は戦争に蹂躙され、男に虐げられる犠牲者として描かれるのが一般的で、この作品も確かにそういう一面はありますが、彼女らはただ運命に翻弄されるだけで終わらず、武器をとってイスラム国と闘う道を選ぶのです。
イスラム国には多くの女性が拉致され、強制的に結婚させられたり、性奴隷にされましたが、ヒロイン、バハールは知恵と持ち前の勇気で外部と連絡をとって囚われている家がら脱出しますが、このシーンはハラハラさせられました。

囚われの女性の半分が逃げることができたそうですが、金目的という動機があったにせよ、現地の人間の協力がなければ彼女たちの逃亡は実現しなかったのがわかります。
助ける方も命がけなわけだからそれ相応の報酬を要求するのは当然でしょう。
ホームレス支援のボランティアとはレベルが違います。

TVで救出された女性のインタビューも見ましたが、心に傷を負っていて元の生活を取り戻すのには時間がかかると言ってましたが、バハールたちに嘆き悲しんでいる暇はなく、即闘う道を選んだのは、夫の仇を射ちたい、子供を取り戻したいという一念だったのでしょう。
イスラム教では、なぜか女に殺されると天国に行けないとされていて、女性兵士と闘うことを嫌い士気が下がるらしく、クルド人女性はそれを逆手にとって、戦いを有利に進めます。

戦争を描いていますが、派手な戦闘シーンはあまりなく、主にバハールの心象と彼女の過去、イスラムに囚われて救出されるまでの過程が女性の視点で描かれているので、女性にも見やすい内容となっています。
むしろ、女性に見ていただきたいですね。
それにしても、これだけ連合軍側に協力したのだから、そろそろクルドを独立させてあげてもいいんじゃないかと思うんですけどね。

クルド人は国を持たない最大の民族と言われていますが、元々国境のないクルド人の地域に第一次世界大戦後、無理やり国境線を引いたのは、先勝国の西洋諸国なのだから責任があると思います。
一方、アラブ諸国によるクルド人支配批判を利用して中東に影響力を発揮したいという側面もあり、一筋縄ではいかないようです。

一方、クルド人が分布して住んでいる国々がまた一癖あり、それぞれの思惑などもあって、おそらく油田の利権でしょうが、なかなか難しいものがあるようです。
東ティモールなどが独立できたのは、インドネシアや諸外国にとって切り離しても痛くも痒くもないからでしょう。

クルド人問題について分かりやすく解説したページがこちらにあります。
確かに人口数千万もいたら、それはもう立派な国ですよね。
それはウイグル自治区も同じですが、クルドと違い、こちらは漢民族が半分を占めるようになっていて、独立には漢民族が反対するでしょうね。
ヴァチカンやモナコみたいに、私の住む自治体並みの小さな国が独立国として認知されていて、台湾を含めた独立するに相応しい国が独立できないなんて世の中狂ってますね。


少数民族という嘘】世界が注目するクルド人

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