私の体は音楽と映画と旅でできている

タイトルのまんまのブログ。中年主婦が映画、音楽、旅行について思いつくままに書いてます。

【海外ドラマ】ロンドン・スパイ

『ロンドン・スパイ』はNetflixのオリジナルとなっていますが、イギリスのBBC2制作ともなっています。製作がBBCで配給がNetflixでしょうか。
5話なのでサクサク観れるのがありがたかった。
最近、シーズン15とかありえへんくらい長いドラマが多く、『ウォーキング・デッド』以外は全て脱落してしまいました。
シーズンが終わって次にシーズンまでに一年も開けば前の話忘れてしまうので、ほとんどが1シーズンで完結するNetflixはありがたい限りです。

 

【あらすじ】
ロンドンに暮らすゲイの青年ダニーは、孤独な日々を送っていたが、ある日、不思議な青年ジョーに出会い恋に落ちる。ミステリアスなジョーに魅かれるダニーだが、突如彼と連絡が取れなくなり、身を案じて彼の家を訪れたダニーは屋根裏部屋で彼の死体を発見、彼の死を探る内に国家を揺るがす大きな事件に巻き込まれて行くといったミステリー。

 

【ここからネタバレあり】

ミステリー的な面白さよりは人間ドラマやロマンスに力点を置いたドラマといった印象を受けました。
1話は純粋に惹かれあう2人のラブ・ストーリーとなっていて切ないです。
ダニーを演じるベン・ウィショーは本人もゲイであることをカミングアウトしているそうですが、繊細でありながら、どこか芯の強さを感じさせるダニーを共感タップリに演じています。

男同士の結構濃厚なベッドシーンが描かれていますが、こういうシーンが地上波で放映された事に驚きました。
日本ではまずありえない事です。実際、抗議の電話が殺到したそうですが、放送局側は21時以降ならなんら規定に反してないと反論したそうです。事なかれ主義の日本も見習ってほしいですね。
しかし、こんなシーンをTVで堂々と放映する英国っていつも思うのですが、保守的なのか進歩的なのかわからない国ですね。

 

 2話以降はダニーがジョーの死の真相を探る為に奔走するわけですが、彼は実はMI6のスパイでその死には国家どころか世界を危険にさらすような秘密が隠されていることが明らかになります。


その過程で脅迫を受けたり、いきなり警察に容疑者扱いされたり、様々な恐ろしい目に遭いますが、普通の人間なら断念してしまいそうなところ、ダニーは決してあきらめることなく、徐々に真相に近づいていきます。
それだけジョーを愛していたということだと思うと胸が熱くなります。
ダニーはジョー(本当はアレックス)の秘密を探るために彼の母に会いに行きますが、この母を演じているのがシャーロット・ランプリング。ただ者ではない癖のある女性を貫禄たっぷりに演じています。

 

また、ダニーを影になり日向になり支える元スパイのスコッティを英国の大御所俳優ジム・ブロートベントが演じていますが彼がまたいいんです。
彼もまたゲイですが、荒れた生活を送るダニーを立ちなおせるために尽力したり、自分と同じ匂いを感じ取ったジョーに「彼を悲しませないように」と釘を刺します。その危惧は現実のものとなるわけですが、危険な捜査をやめようとしないダニーに自分ができる精一杯の事をしてやるといった姿に打たれました。


所々に挿入されるダニーのジョーとの楽しかった頃の回想もいいのですが、スコッティが語るゲイでスパイ人生を挫折したこと、エイズ黎明期に英国で患者1号となった芸術家の恋人について語るシーンなどが印象的なんですね。
もしかして、彼が黒幕ではないかとドキドキしながら観ていたのですが、ほんとに無償の愛だったわけです。
彼の辿る結末も実に切ない。スパイでゲイだった故に孤独だった彼はダニーだけが心の支えであり、彼の為に自分の持つ全てを残し、ジョーの事を忘れて幸せに暮らしてほしいと願ったのでしょう。

 

ジョーの抱える秘密や国家の陰謀が明らかになる過程もハラハラ感がありますが、アメリカドラマのような爽快感はありません。むしろ、上記に書いたような人間描写が良かったですね。私はやはりヨーロッパの陰鬱な空気が好きみたいです。

 

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